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2026.8.5

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ヨーロッパの働く人の55%が「犬と出社できるなら転職を考える」

私自身、犬と暮らしながら働いてきました。

「今日は誰かに預けられるだろうか」と考えながら出社する朝が、どれだけ心を削るか知っています。

子犬のころも、老いてからも、そばにいることがなにより大切な時期があります。人と同じです。家族なのだから。

55%という数字の向こうに、その朝が16,006人ぶんある。

制度の話に見えて、これは暮らしの話です。

ヨーロッパの働く人の半数以上が、「ペットと一緒に出社できる会社なら転職を考える」と答えました。2026年6月に発表された、欧州16カ国・16,006人を対象にした調査の結果です。

しかもこの傾向は、若い世代ほど強く出ています。採用に悩む日本の企業にとって、他人事ではない数字かもしれません。

ヨーロッパでは、こうなっている

2026年6月25日、Mars社が「Pet-Friendly Advantage (PFA) 2026 Workplace Report」を発表しました。欧州16カ国、16,006人の労働者を対象にした調査です。主な結果は次のとおりです。

グラフ:ペットがいると職場がリラックスすると感じる81%、ペット同伴できるなら転職を検討する55%、従来型の福利厚生よりペット制度を優先する36%、育児休暇や民間医療保険よりペット制度を優先する35%

さらに注目すべきは、世代による差です。求職時にペット関連の制度を自分から探す人は、18〜24歳で41%、55歳以上では24%。若い世代ほど、会社選びの基準にしています。

求人票にも表れている

キャリアプラットフォームのFlexaが求人情報を分析したところ、「犬の受け入れ」を明記している求人の割合は、国によって大きな差がありました。

グラフ:求人票に犬の受け入れを明記している割合。イギリス64%、ドイツ45%、アメリカ42%、オーストラリア32%、フランス28%、オランダ28%、スペイン27%、アイルランド17%。日本は同様の調査データが見当たらない

イギリスでは、求人の3件に2件が犬の受け入れに触れていることになります。

なぜ、そうなったのか

背景には、コロナ禍以降の働き方の変化があります。

在宅勤務が広がった時期に、多くの人がペットを迎えました。そして出社が戻ったとき、「日中ずっと一匹にしておく」という問題が、はじめて多くの人に共通の悩みとして立ち上がったのです。

同じ調査では、出社への移行にあたって「ペット制度のある会社は自分を支えてくれている」と感じる労働者が50%という結果も出ています。

つまりペット同伴制度は、単なる「犬好きへのサービス」ではありません。出社と生活を両立させるための、実務的な仕組みとして受け止められている。ヨーロッパの企業は、そこに先に気づいたということだと思います。

では、日本の企業は何から手をつけるべきか

ここからは、人事の実務としてお話しします。「うちもペット同伴OKにしよう」といきなり始めると、ほぼ確実に失敗します。順番があります。

1. 制度より先に「ルールの文書」をつくる

いちばん多い失敗が、雰囲気で始めてしまうことです。どのエリアなら入っていいのか。誰が責任を持つのか。吠える・粗相をしたときどうするか。予防接種やしつけの条件はどうするか。

これを紙にしないまま始めると、必ず一度目のトラブルで制度ごと終わります。先に書く。それだけで生存率が変わります。

2. 「犬がいない社員」の設計を、先にやる

日本の職場で最大の論点はここです。動物アレルギーの人。犬が苦手・怖いと感じる人。「不公平だ」と感じる人。

この3者への配慮を先に設計してある制度だけが、社内で生き残ります。犬を連れてくる人のルールより、連れてこない人への配慮のほうが重要です。逆に言えば、ここさえ丁寧に作れば、反対はぐっと減ります。

3. 全社一斉ではなく、限定して試す

特定のフロア・エリアだけ。週1日だけ。期間を決めて(例:3ヶ月)。小さく試して、記録を取って、広げる。人事制度の鉄則です。

明日からできること

制度づくりに時間がかかるのは当然です。でも、今日中にできることが一つあります。求人票に一行入れてみてください。

「オフィスへのペット同伴について、制度を検討中です」

検討中でも構いません。イギリスの求人の64%がこの話題に触れているという事実は、それが求職者に届く言葉であることの証拠です。まずは自社の社員に「犬を飼っていますか」「連れてきたいですか」とアンケートを取るところからでも十分です。

出典

・Mars, "Pet-Friendly Advantage (PFA) 2026 Workplace Report"(2026年6月25日発表/欧州16カ国・16,006人)https://www.mars.com/news-and-stories/press-releases-statements/european-workers-pet-friendly-workplace

・Euronews「Dogs and cats at work: Yes or no? Here are Europe's most pet-friendly countries」(2026年7月9日)https://www.euronews.com/my-europe/2026/07/09/dogs-and-cats-at-work-yes-or-no-here-are-europes-most-pet-friendly-countries

いずれも2026年8月5日閲覧。

INUGOODでは、ペットフレンドリーな職場づくりのご相談を承っています。制度設計のご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。